【ISTQB /JSTQB AI Tester 解説】機械学習(ML)ワークフローとは?

JSTQB AI Tester

― ISTQB AI Tester試験で必須の基本プロセスを完全理解 ―

ISTQB AI Tester Chapter 3では、機械学習(Machine Learning:ML)をどのような流れで構築・運用するのかという

「MLワークフロー(ML Workflow)」が重要なテーマとして扱われます。

機械学習モデルは、

作って終わりではなく、運用しながら改善し続けるものです。

その全体像を体系的に理解することが、AIテストにおいて不可欠になります。


MLワークフローの全体像

MLワークフローは、大きく次の 2フェーズ に分かれます。

  1. モデル開発(Model Development)

  2. デプロイ・利用・監視(Deploy, Use, Monitor)

まずはモデルを作り、その後、実システムで使いながら継続的に改善していきます。


① モデル開発フェーズ(Model Development)

1. 目的(Objective)の理解

最初に行うべき最重要ステップが 目的の明確化 です。

  • なぜこのMLモデルが必要なのか?

  • 何を予測・分類・判断したいのか?

  • ビジネス上のゴールは何か?

これらをステークホルダーと合意し、

さらに 受け入れ基準(Acceptance Criteria) を定義します。

具体例

  • 不正取引検知モデル

    →「不正検知率95%以上」「誤検知率5%以下」など


2. フレームワークの選定

目的・受け入れ基準・ビジネス要件に基づき、

AI/ML開発フレームワークを選択します。

  • TensorFlow

  • PyTorch

  • Scikit-learn など

ISTQBでは、「なぜそのフレームワークを選んだのか」

という合理性が重要視されます。


3. アルゴリズムの選択・構築

次に、MLアルゴリズムを決定します。

  • 既存ライブラリのアルゴリズムを使用

  • 独自アルゴリズムを新規開発

選択基準は以下の通りです。

  • 目的

  • 受け入れ基準

  • 利用可能なデータの種類・量

補足

  • すべてをゼロから作るのは時間とコストが大きい

  • 実務では 既存アルゴリズム+カスタマイズ が一般的


4. データの準備とテスト(Prepare & Test Data)

MLモデルの品質は データ品質で決まる と言っても過言ではありません。

主な作業内容

  • データ収集(Data Acquisition)

  • データ前処理(Pre-processing)

  • 特徴量エンジニアリング(Feature Engineering)

  • 探索的データ分析(EDA)

重要ポイント

  • 学習・評価・テスト用データは 運用データを代表している必要がある

  • 不要・機密情報は事前に除去

具体例

リアルタイム株取引システム

→ 過去の市場データ+リアルタイムデータを活用


5. モデルの学習(Training)

選択したアルゴリズムと学習データを使ってモデルを訓練します。

エポック(Epoch)

  • 学習データ全体を1回学習する単位

  • 複数回繰り返すことで精度が向上

2種類のハイパーパラメータ

  • モデルハイパーパラメータ

    例:ニューラルネットワークの層数、決定木の深さ

  • アルゴリズムハイパーパラメータ

    例:学習回数(Epoch数)、学習率


6. モデル評価(Evaluation)

学習済みモデルを 検証データ(Validation Data) で評価します。

  • 精度

  • 再現率

  • F値 など

評価は 科学実験のように管理された環境 で行い、

結果は必ず文書化します。


7. モデルのチューニング(Tuning)

評価結果をもとに、モデルを改善します。

  • ハイパーパラメータ調整

  • 学習データ量の変更

  • モデル構造の見直し

👉 学習 → 評価 → チューニング

高速なループで繰り返すのが特徴です。


8. モデルのテスト(Testing)

完成したモデルは、独立したテストデータで最終確認します。

重要ポイント

  • 学習・評価で使ったデータは使用しない

  • 実運用を想定したデータで検証

機能テスト以外も重要

  • 学習時間

  • 推論時間

  • リソース使用量(CPU/GPU)

※ 通常はデータサイエンティストが担当

※ テスターも十分な知識があれば実施可能


② デプロイ・利用・監視フェーズ

9. モデルのデプロイ(Deploy)

完成したモデルを 実システムに組み込みます。

  • クラウド

  • 組み込みシステム

  • Web API経由 など


10. モデルの利用(Use)

モデルはAIシステムの一部として動作します。

  • バッチ処理(定期実行)

  • リアルタイム処理(オンデマンド)


11. モデルの監視と改善(Monitor & Fine-tune)

運用環境では、データの変化(ドリフト) が発生します。

  • 入力データの傾向変化

  • 精度低下

対応策

  • モデル再調整

  • 新データで再学習

  • A/Bテストによる比較

👉 継続的改善 がML運用の本質です。


まとめ|MLワークフローは「循環型プロセス」

MLワークフローは直線的ではなく、

学習・評価・改善を繰り返す循環型プロセスです。

ISTQB AI Testerでは、

  • 各工程の目的

  • テスト観点

  • データとモデルの関係

を理解しているかが問われます。

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