~ASIlやテストレベルを踏まえた実践的な技法選択例~
ISTQB Automotive Tester Chapter 4 では、自動車特有のテスト技法について学びます。その中でも 4.2 動的テスト技法の最後のテーマが「4.2.5 文脈依存のテスト技法選択」です。
Part-2では「どのようにテスト技法を選ぶのか?」を、具体的な表を使った例で解説しています。
このテーマはK3(適用)レベルの出題となるため、単に知識を覚えるだけでは不十分です。
状況を読んで、適切なテスト技法を選べるかどうかが問われます。
1. 文脈依存のテスト技法選択とは?
テスト技法は複数ありますが、すべてを同時に使うことは現実的ではありません。
そのため、以下のような複数の要素を踏まえて最適な技法を選択する必要があります。
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ASIL(安全度水準)
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利用できるテストベース(要件・仕様・コードなど)
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欠陥を見逃した場合のリスク
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対象となるテストレベル(今回は「システムテスト」)
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適用可能性と効果
ISTQBでは、これらを整理して技法を比較・判断するために表形式で評価する方法を紹介しています。
2. 技法選択のサンプル表
技法一覧:
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要件ベーステスト
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同値分割法(Equivalence Partitioning)
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境界値分析(Boundary Value Analysis)
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ステートメントテスト
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デシジョンテスト
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MCDC
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エラー推測(Error Guessing)
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フォルトインジェクション
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バックトゥバックテスト
以下、技法選択の判断基準。
評価基準
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評価項目 |
内容 |
|---|---|
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ASILレベル(A〜D) |
安全度水準に応じた技法推奨度 |
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テストベースの有無 |
要件・仕様・コード・経験など、テスト設計に必要な情報があるか |
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欠陥未検出時のリスク |
技法を使わず欠陥を逃すとどれくらい危険か |
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適用するテストレベル |
今回の例は「システムテスト」 |
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最終選択 |
実際に使用するかどうか |
3. 表から読み取る「技法の選び方」
▼結論:最終的に選ばれた技法
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要件ベーステスト
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同値分割法(Equivalence Partitioning)
以下で、他の技法が選ばれなかった理由を解説します。
4. 技法が選ばれなかった理由の分析
1)テストレベルが「システムテスト」で不適
以下の技法は、主にホワイトボックス(コードレベル)のためシステムレベルのテストに適さないと判断されます。
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ステートメントテスト
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デシジョンテスト
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MCDC(修正条件/決定条件網羅)
-
フォルトインジェクション(用途が限定的)
よって「選択しない」。
2)テストベースが存在しない
テストベースがないと設計自体が不可能な場合があります。
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境界値分析:数値の入力範囲が仕様に記載されていないため不可
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エラー推測:経験・チェックリストがないので不可
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バックトゥバックテスト:比較対象のモデル・参照システムがない
→ 必要情報が欠けているため「選択しない」。
3)ASILレベルだけで選択してはいけない
「ASILが高いので推奨レベルが高い=必ず使うべき」ではありません。
ASILはあくまで優先度の目安の一つであり、
テストレベル(システム/統合/ユニット等)やテストベースの有無との組み合わせで
実際に使えるかどうかが決まります。
――この点はISTQB的な重要ポイントです。
5. 実践例:あるシステムのテスト技法選択
以下は動画の例を、日本語で具体的なストーリーとして再構成したものです。
■ 想定するケース
レベル:システムテスト
ASIL:A(安全上重要)
仕様書:利用可能
数値条件の仕様なし(境界値分析は不可)
■ 技法評価の流れ
▼ Step1:テストレベルから除外する
ホワイトボックス系を除く
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ステートメント
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デシジョン
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MCDC
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フォルトインジェクション
▼ Step2:テストベースの有無で除外
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境界値分析 → 入力範囲の仕様がない
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エラー推測 → 経験ベース情報なし
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バックトゥバック → 比較元なし
▼ Step3:ASILと適用性で最終決定
残ったのは以下の2つ
✓ 要件ベーステスト
✓ 同値分割法
よって、この2つが最適な技法と判断されます。
6. まとめ:技法選択は“状況の総合評価”が鍵
文脈依存の技法選択では、以下の総合評価が必要です。
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ASIL
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利用できるテストベース
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欠陥見逃しリスク
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テストレベルとの適合性
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技法の目的と特性
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現実的な適用可否判断
特にISTQB試験(K3)では、
「表を読み、最適な技法を選べるか」が直接問われます。
表の要素を一つだけ見るのではなく、
複数の要素を組み合わせて分析することが重要です。


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