はじめに:Chapter 2は試験で最も出題数が多い!
ISTQB Automotive Software Tester 認定試験において、**Chapter 2「E/Eシステムテストに関する標準(Standards for Testing of E/E Systems)」**は最も重要な章の1つです。
この章からは、なんと**全40問中18問(約45%)**が出題されます。
扱う内容は次の通りです。
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Automotive SPICE(A-SPICE)
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ISO 26262(機能安全規格)
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AUTOSAR(Automotive Open System Architecture)
-
各標準間の比較(比較問題)
つまりChapter 2をしっかり理解することが、合格のカギとなります。
ここでは、実際の出題傾向に基づいたサンプル問題を3問紹介します。
サンプル問題①:A-SPICEの達成度評価(PA 1.1)
問題文:
あなたは統合テスターとしてAutomotive SPICEアセスメントに参加しています。
評価の結果、あなたのプロセスは「PA 1.1」の観点で「L」と判定されました。
次のうち、正しい説明はどれですか?
選択肢:
A. Lは「Not Fulfilled(未達成)」を意味する
B. Lは「Partially Fulfilled(部分的に達成)」を意味する
C. Lは「Largely Fulfilled(概ね達成)」を意味する
D. Lは「Fully Fulfilled(完全に達成)」を意味する
正解:C. Largely Fulfilled(概ね達成)
解説:
A-SPICEでは、各プロセスの達成度を以下の4段階で評価します。
|
評価レベル |
略号 |
意味 |
概要 |
|---|---|---|---|
|
Not Fulfilled |
N |
未達成 |
実施されていない |
|
Partially Fulfilled |
P |
部分的に達成 |
一部の活動のみ実施 |
|
Largely Fulfilled |
L |
概ね達成 |
約75%の活動が実施 |
|
Fully Fulfilled |
F |
完全に達成 |
100%実施 |
このため、「L」は75%程度のプロセス達成を示します。
試験では「PA 1.1(プロセス実施の完全性)」や「PA 2.1(プロセス管理)」など、
A-SPICEモデルの階層構造を理解しておくことが重要です。
サンプル問題②:ISO 26262におけるテスターに関連する重要な巻(Volume)
問題文:
ISO 26262には複数の「巻(Volume)」があります。
テストエンジニアにとって最も関連性が高い2つのVolumeはどれですか?
選択肢:
A. Volume 4(システムレベルの製品開発)とVolume 6(ソフトウェアレベルの製品開発)
B. Volume 3(コンセプトフェーズ)とVolume 6(ソフトウェアレベルの製品開発)
C. Volume 2(機能安全マネジメント)とVolume 6(ソフトウェアレベルの製品開発)
D. Volume 5(ハードウェアレベルの製品開発)とVolume 6(ソフトウェアレベルの製品開発)
正解:A. Volume 4とVolume 6
解説:
ISO 26262は、機能安全ライフサイクル全体をカバーする国際規格です。
中でもテスターにとって特に関係が深いのは以下の2巻です。
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Volume 4:システムレベルでの製品開発
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システム要件に基づいた統合テストやシステム検証を扱う。
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-
Volume 6:ソフトウェアレベルでの製品開発
-
コーディング規約、ユニットテスト、ソフトウェア統合テストなど。
-
Volume 3(コンセプトフェーズ)は主に安全分析やHARA(Hazard Analysis and Risk Assessment)を扱うため、テスターの直接的な対象外です。
Volume 2(機能安全マネジメント)は組織的な安全運用の定義であり、こちらも直接の対象ではありません。
サンプル問題③:ISO 26262 メソッドテーブル(コードカバレッジ)
問題文:
下記はISO 26262におけるコードカバレッジ(Code Coverage)関連のメソッドテーブルの抜粋です。
次のうち、テスト計画に記載された内容として正しいものはどれですか?
|
方法ID |
内容 |
推奨度(例) |
|---|---|---|
|
1a |
ステートメントカバレッジ |
++(Highly Recommended) |
|
1b |
ブランチカバレッジ |
++(Highly Recommended) |
|
1c |
条件/判定修正カバレッジ(MC/DC) |
++(Highly Recommended) |
選択肢:
A. ASIL Aレベルでは、ブランチカバレッジを使用しても問題ない
B. ASIL Dレベルでは、ステートメントカバレッジだけで十分である
C. ASIL Bレベルでは、MC/DCを必ず使用しなければならない
D. どのASILレベルでも1a〜1cすべて実施しなければならない
正解:A. ASIL Aではブランチカバレッジを使用しても問題ない
解説:
ISO 26262のメソッドテーブルでは、テストレベルやASILレベルごとに「推奨度(+, ++)」が定義されています。
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「+」=推奨(Recommended)
-
「++」=強く推奨(Highly Recommended)
さらに、テーブルで「1a, 1b, 1c」と記載されている場合は**代替手法(Alternatives)**を意味します。
つまり、1a〜1cのいずれかを選択してもよいということです。
たとえば、ASIL A(安全要求が比較的低い)では「ブランチカバレッジ」を選んでも構いません。
また、ブランチカバレッジを100%達成すれば、理論上ステートメントカバレッジも100%達成されるため、効率的です。
逆に「1, 2, 3」と並んでいる場合はすべてを実施しなければならないことを意味します。
Chapter 2まとめ:試験で差をつけるにはここを押さえる!
Chapter 2は出題数が多いだけでなく、内容も広範囲です。
A-SPICE、ISO 26262、AUTOSARの基本的な目的・構造・関連性を体系的に理解しましょう。
特に覚えておきたいポイントは以下です。
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A-SPICE: プロセス能力レベルと達成度(N, P, L, F)
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ISO 26262: テスターに関係するVolume(4と6)
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AUTOSAR: ソフトウェア層の構造と標準化目的
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比較問題: 各規格の目的・観点の違いを整理しておくこと
まとめ
Chapter 2は、ISTQB Automotive Tester試験の中で最も多くの問題が出る重要パートです。
18問を確実に得点するためには、単なる暗記ではなく**「なぜその規格が必要なのか」「どのプロセスに関係しているのか」**を理解することが鍵です。
💡おすすめ学習法
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A-SPICEとISO 26262の対応関係をマトリクス化して覚える
-
AUTOSARのレイヤー図を自分で描いて整理
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実務での例(例:ASIL Bのシステム統合テスト)を考えて関連付ける


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