テスト計画を立てる際に欠かせないのが、**「Entry Criteria(開始条件)」と「Exit Criteria(終了条件)」**です。
これらは、単なるチェックリストではなく、プロジェクトの品質・効率・リスク低減に大きく関わる重要な要素です。
この記事では、ISTQB Foundation Level シラバス4.0の内容をもとに、
それぞれの定義・目的・例・アジャイルでの対応概念までわかりやすく解説します。
🔍 Entry Criteria(開始条件)とは?
**Entry Criteria(エントリー条件)**とは、
「テストや開発など、あるフェーズを“開始してもよい状態”を判断するための条件・前提」を指します。
言い換えると、
「準備が整っているか?問題なくスタートできるか?」
をチェックするリストです。
もしこの条件を満たさないまま開始してしまうと、
後で不具合・手戻り・コスト増が発生しやすくなります。
✅ 代表的なEntry Criteriaの例
|
項目 |
内容 |
|---|---|
|
リソースの準備 |
テスト担当者、テスト環境、ツール、データ、スケジュールなどが揃っている |
|
テストウェアの準備 |
テストベース(要件や設計書)、テストケース、テストデータなどが利用可能 |
|
ビルドの品質確認 |
スモークテストやサニティテストを実施し、テスト対象が安定している |
|
スケジュールの確定 |
テスト開始日・終了日が決まり、関係者間で合意されている |
|
予算と時間 |
必要な費用や時間の確保が確認できている |
💡 わかりやすい例:旅行の準備と同じ!
テストを旅行に例えると、
Entry Criteriaは「出発前の持ち物チェックリスト」です。
パスポートやチケット、荷物がそろっていないのに出発しても、途中でトラブルが起こります。
テストも同じで、必要なものが揃っていなければ、スムーズに進められません。
✅ Exit Criteria(終了条件)とは?
**Exit Criteria(エグジット条件)**とは、
「あるフェーズや活動を“完了した”と判断できる基準」です。
言い換えると、
「もうやるべきことは全てやったか?終了してよい状態か?」
を判断するためのチェックリストです。
これを明確にしておくことで、
・いつ終わったとみなすか
・どの時点でリリースできるか
をチーム全体で共有できます。
✅ 代表的なExit Criteriaの例
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項目 |
内容 |
|---|---|
|
テストカバレッジの達成 |
要求・コード・機能・決定分岐などで、合意したカバレッジ率(例:90%)を達成している |
|
未解決バグの上限 |
残っている不具合の数や重大度が、契約・SLAで定められた範囲内に収まっている |
|
テスト完了率 |
計画したテストケースがすべて実行済みで、結果が報告されている |
|
静的テスト完了 |
レビューや解析などの静的テストが完了している |
|
欠陥報告完了 |
発見した欠陥はすべて記録・報告済みで、口頭伝達に留まるものがない |
|
回帰テストの自動化 |
回帰テストが自動化され、次のリリースや保守に備えられている |
💡 たとえ話:Exit Criteriaは「旅の終わりのチェックリスト」
旅行なら、帰宅前に「荷物は全部持った?お土産は買った?忘れ物はない?」と確認しますよね。
それと同じように、**Exit Criteriaは“完了を確認する最終チェック”**です。
これを怠ると、「終わったと思っていたのに後から問題が発覚する」ことになります。
🧩 Entry & Exit Criteriaはどこに使うのか?
これらの基準は「テスト」に限らず、以下のように幅広く活用できます。
-
プロジェクト全体の開始・終了判定
-
開発フェーズ(設計・実装など)
-
各テストレベル(単体・結合・システム・受け入れテスト)
-
各イテレーション(スプリント)の管理
つまり、「始めていい」「終わっていい」を明確にするための仕組みなのです。
🚀 アジャイル開発での対応概念:DoRとDoD
アジャイル開発では、
Entry CriteriaとExit Criteriaは次のように呼ばれています。
|
ISTQB用語 |
アジャイル用語 |
意味 |
|---|---|---|
|
Entry Criteria |
Definition of Ready(DoR) |
スプリントを始める準備が整った状態 |
|
Exit Criteria |
Definition of Done(DoD) |
スプリントの完了条件を満たした状態 |
つまり、
-
DoR = 「始めてもいい状態」
-
DoD = 「終えていい状態」
です。
これを設定しておくことで、チーム全体が同じ基準で判断できるようになります。
🧠 まとめ:Entry & Exit Criteriaの意義
|
観点 |
Entry Criteria |
Exit Criteria |
|---|---|---|
|
タイミング |
開始前 |
終了時 |
|
目的 |
スムーズなスタートを確実にする |
適切な終了を保証する |
|
効果 |
手戻り・コスト増の防止 |
品質・進捗の明確化 |
|
例 |
環境準備・リソース確保 |
カバレッジ達成・欠陥報告完了 |
これらの基準を明確に設定することで、
テストプロジェクト全体の品質と効率が格段に向上します。
🏁 まとめの一言
Entry CriteriaとExit Criteriaは、「テストを始める前の確認」と「テストを終えるための確認」。
たったこれだけの違いですが、これを明確にすることで、無駄な手戻り・混乱・品質問題を防ぐことができます。
ISTQB試験でもよく出るテーマなので、定義だけでなく「実際にどんな場面で使うか」も意識して覚えておきましょう。



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