こんにちは!
この記事では、ISTQB Foundation(CTFL)模擬問題 Part 3 の内容をわかりやすく解説します。
実際の試験でも出題されやすい「Shift Left アプローチ」「回顧(レトロスペクティブ)」「テストレベル」「回帰テスト」「静的テストの利点」などを扱っています。
問題11:Shift Leftアプローチの例では「ない」ものはどれ?
質問: 次のうち、「Shift Leftアプローチの例ではない」ものはどれ?
選択肢:
A. ステークホルダーが承認する前にユーザ要求をレビューする
B. 対応するコードを書く前にコンポーネントテストを作成する
C. コンポーネントテスト中に性能テストを実施する
D. 構成管理プロセスを設定する前にテストスクリプトを書く
解説:
「Shift Left(シフトレフト)」とは、テスト活動を**開発プロセスの早い段階(左側)**に持ってくる考え方です。
つまり、要求定義や設計の段階からテスト担当者が関与することを意味します。
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A:要求の早期レビュー → ✅ シフトレフトの典型例
-
B:コード前のテスト設計 → ✅ シフトレフトの例
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C:コンポーネント単位の性能テスト → ✅ シフトレフトの例
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D:構成管理がまだ整っていないのにスクリプトを書く → ❌ 不適切
👉 正解:D
構成管理が整っていない段階では、テストスクリプトの保存やバージョン管理ができないため、シフトレフトの実践とは言えません。
問題12:なぜリリースごとにレトロスペクティブを行うべき?
質問: 各リリース後にレトロスペクティブ(振り返り会)を行うよう、上司を説得するには?
選択肢:
A. 流行っているから導入すべき
B. 実施しないと顧客からの即時フィードバックが得られない
C. レトロスペクティブで特定した弱点を改善し、継続的なプロセス改善に活かせる
D. レトロスペクティブは勇気や尊重など5つの価値を重視するから
解説:
レトロスペクティブ(振り返り)は、プロセス改善のための会議です。
「何がうまくいったか」「何を改善できるか」をチーム全員で共有します。
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A:流行理由では説得力なし
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B:顧客フィードバックとは別問題
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D:XP(エクストリームプログラミング)の話で、レトロスペクティブの本質とは異なる
👉 正解:C
レトロスペクティブの目的は、**継続的改善(Continuous Improvement)**を推進することです。
例:
「テストケースのレビュー時間が足りなかった」→ 次回からスプリント計画にレビュー時間を明示的に組み込む。
問題13:失敗のタイプとテストレベルのマッチング
質問: 以下の失敗タイプを、最も関連するテストレベルに対応付けなさい。
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失敗のタイプ |
該当テストレベル |
|---|---|
|
① ユーザ要求と異なるシステム動作 |
A. コンポーネントテスト |
|
② コンポーネント間の通信エラー |
B. コンポーネント統合テスト |
|
③ モジュール内のロジックエラー |
C. システムテスト |
|
④ ビジネスルールが正しく実装されていない |
D. 受入テスト |
👉 正解:A(1-D, 2-B, 3-A, 4-C)
ポイント:
-
「受入テスト」→ ユーザ要求との整合性を確認
-
「統合テスト」→ コンポーネント間の連携を確認
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「コンポーネントテスト」→ 単体のロジック検証
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「システムテスト」→ ビジネスルールや機能全体の確認
問題14:どれが回帰テスト?
質問:
ユーザストーリーに3つの受入基準(AC1〜AC3)があり、3回のリリースでテストを実施。
どのテストが「回帰テスト(Regression Test)」になるか?

選択肢:
A. Tests 4 and 6
B. Tests 5 and 7
C. Tests 1, 4, and 6
D. Tests 2 and 5
ポイント整理:
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再テスト(Confirmation Testing):修正された箇所を再確認するテスト
-
回帰テスト(Regression Testing):修正の影響が他機能に波及していないか確認
例:
-
初回(Version 1):TC1〜3実施 → TC1のみ合格
-
2回目:修正後に再実施 → TC2,3再テスト(これは再テスト)+TC1再実施(これは回帰テスト)
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3回目:すべて再実施 → TC1のみ回帰テスト、他は再テスト
👉 正解:B(5番と7番のみ回帰テスト)
覚え方:
「再テスト」は直した箇所の確認
「回帰テスト」は他が壊れていないかの確認
問題15:静的テストの「利点ではない」ものは?
質問: 次のうち、静的テストの利点では「ない」ものは?
選択肢:
A. 欠陥管理が安く済むのは、SDLC後半で欠陥を簡単に検出できるから
B. 動的テストより早期に欠陥を修正できる
C. コーディングミスを早期に発見できる
D. 要件の矛盾や抜け漏れを発見できる
解説:
静的テスト(レビュー・静的解析)は開発初期での欠陥検出が目的です。
-
B〜Dは静的テストの典型的な利点。
-
しかしAのように「後半で欠陥を簡単に検出できる」は静的テストの考え方と逆。
👉 正解:A
例:
設計レビューで仕様漏れを発見すれば、修正コストは最小限に。
後半での発見(動的テストや受入段階)ではコストが10倍以上に膨らむ可能性もあります。
まとめ
今回の5問を通して、ISTQBの重要概念が整理できます。
|
トピック |
試験での狙い |
|---|---|
|
Shift Left |
テストを早期に実施する意味を理解しているか |
|
Retrospective |
プロセス改善の重要性を理解しているか |
|
テストレベル |
各レベルの目的を区別できるか |
|
回帰 vs 再テスト |
用語の違いを正確に説明できるか |
|
静的テスト |
動的テストとの違いを理解しているか |
💡 試験対策ポイント:
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「NOT(~でない)」というキーワードを見逃さない
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**Elimination Strategy(除外法)**を使って消去しながら考える
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一問一問の背後にあるテスト原則を意識する


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