ISTQB Foundation Level(CTFL)シラバス4.0の第5章では、**テストマネジメント(Test Management)**について学びました。
今回のチュートリアルでは、その総まとめとして サンプル問題(Sample Questions) を解きながら、試験で問われやすいポイントを確認します。
🧩 第1問:テスターはイテレーション計画やリリース計画にどのように貢献するか?
質問内容
How do testers add value to iteration and release planning?
選択肢
A. テスターはユーザーストーリーの優先順位を決定する
B. テスターはシステムの機能的側面だけに集中する
C. テスターはユーザーストーリーのリスク識別とリスク評価に参加する
D. テスターはリリース計画中に早期テスト設計を行い、高品質リリースを保証する
解説
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A:ユーザーストーリーの優先順位付けは、**ビジネス担当者(プロダクトオーナー)**とチーム全体が行う。テスター単独の責任ではありません。
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B:アジャイルでは**機能テストだけでなく非機能テスト(性能・セキュリティなど)**も考慮します。
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D:早期テスト設計はリリース計画ではなく、スプリント(イテレーション)レベルで行われる活動です。
✅ 正解:C
テスターは、ユーザーストーリーのリスクを特定し、評価するプロセスに積極的に参加する。
💡具体例
例えば「支払い機能を追加するスプリント」であれば、テスターは次のようなリスクを指摘します:
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クレジットカード認証APIの遅延
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不正アクセスによる支払い情報漏洩
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モバイル環境での動作不具合
これにより、開発チームは事前にリスクを把握し、対策を検討できます。
🧩 第2問:テスト終了(Exit Criteria)の例はどれか?(2つ選択)
質問内容
Which two of the following are exit criteria for testing a system?
選択肢
A. テスト環境が準備完了
B. テスターがテスト対象にログインできる
C. 許容される欠陥密度(Defect Density)に到達
D. 要件が Given-When-Then 形式に変換済み
E. 回帰テストが自動化されている
解説
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A・B・D はいずれも「開始条件(Entry Criteria)」です。
→ つまり、テストを始めるための条件。
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C と E は「終了条件(Exit Criteria)」にあたります。
✅ 正解:C と E
C. 許容される欠陥密度に達した
E. 回帰テストが自動化された
💡具体例
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**欠陥密度(Defect Density)**とは、コード行数や機能数あたりの欠陥数。
例:「1,000行あたり欠陥が0.5未満であること」が終了条件。
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回帰テスト自動化は、リリース後の保守性を保証する指標。
すべての重要な回帰テストが自動化されていれば、リリース可能と判断できます。
🧩 第3問:リスク分析に基づく対応策の種類
質問内容
During risk analysis, a risk was identified: “response time is too long to generate a report.”
Likelihood = Medium, Impact = High.
As a response, a performance testing team will test during system testing, and end users will do Alpha/Beta testing.
→ これはどのようなリスク対応か?
選択肢
A. Risk Acceptance(受容)
B. Contingency(予防策)
C. Mitigation(緩和・低減)
D. Transfer(移転)
解説
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Acceptance(受容):何もしないでリスクを受け入れる(例:自然災害)。
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Contingency(予防策):リスク発生を未然に防ぐための手立て。
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Transfer(移転):他の部署や外部業者にリスクを委ねる(例:保険加入)。
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Mitigation(緩和):リスク発生後に影響を減らすための具体的な行動。
✅ 正解:C Mitigation(リスク緩和)
パフォーマンステストやアルファ/ベータテストを実施して、リスク(遅延)を低減する行動を取っているため。
💡具体例
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リスク:レポート生成に10秒以上かかる
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対応策:パフォーマンステストでボトルネックを特定し、クエリ最適化を実施
→ 発生を完全には防げないが、影響を**緩和(Mitigate)**できる
🏁 Chapter 5の総まとめ
Chapter 5では、テストマネジメントの実践的な側面(計画・リスク・報告・欠陥管理など)を学びました。
今回のサンプル問題を通じて、特に以下の点が試験で問われやすいと分かります。
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重要トピック |
試験に出やすい観点 |
|---|---|
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リリース・イテレーション計画 |
テスターの役割・リスク分析 |
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エントリ/エグジット基準 |
定義の違いを明確にする |
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リスク管理 |
4つのリスク対応策(受容・予防・緩和・移転) |
✅ まとめ
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テスターの価値は「リスクを見抜く目」にある。
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エントリとエグジットの違いは試験の定番。
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リスク対応の種類を定義とセットで暗記しておこう。


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