ISTQB Foundation(CTFL)試験対策シリーズ第2回では、問題6〜10までのサンプル問題を丁寧に解説します。
テスターの役割、重要なスキル、チームでの関わり方、SDLCモデル、ATDD(受け入れテスト駆動開発)など、
試験でも頻出のテーマをしっかり理解しましょう。
■ 問題6:どのタスクが「テスト担当者の主な役割」に属するか?
問題:
次のうち、テスト担当者(Testing Role)が主に行うタスクはどれか?(2つ選択)
選択肢例:
A. テスト環境の構成(Configure test environments)
B. プロダクトバックログの管理
C. 新しい要求へのソリューション設計
D. テスト計画の作成
E. テストベースの分析
解説:
-
A:テスト環境の構成
テスト環境の設定や構成はテスターの重要な業務の一つです。
実際のプロジェクトではインフラチームが担当することもありますが、ISTQBの観点では「テストロールの仕事」として扱われます。
-
B:プロダクトバックログの管理
これはプロダクトオーナーの役割です。テスターではありません。
-
C:新要求へのソリューション設計
これは開発者またはアーキテクトの責任範囲です。テスターの役割ではありません。
-
D:テスト計画の作成
テスト計画はテストマネージャーが担当する業務です。Foundationレベルで想定される「テスターの役割」ではないため除外します。
-
E:テストベースの分析
テストベース(要求仕様書など)を分析してテスト条件を導くのはテスターの中心的な活動です。
✅ 正解:A と E
ポイント:
「主にテスターが行う作業」というキーワードに注目。
マネージャーや開発者の業務と混同しないようにしましょう。
■ 問題7:テスターにとって最も重要なスキルはどれか?
問題:
次のスキルのうち、テスターとして最も重要なものを選びなさい。
選択肢:
-
ドメイン知識を持つこと
-
プロダクトビジョンの作成
-
チームプレイヤーであること
-
チームの作業計画と組織化
-
クリティカルシンキング(批判的思考)
解説:
-
1. ドメイン知識
システムや業界の知識はテスト設計の質を高めます。
例)金融システムをテストする場合、金利計算や取引ルールを理解していると不具合を見つけやすい。
-
2. プロダクトビジョンの作成
これはプロダクトオーナーの仕事です。テスターには不要。
-
3. チームプレイヤーであること
開発・要件・QAの全員と協力するため、コミュニケーション能力は必須。
-
4. 作業計画・組織化
これはマネージャーレベルのスキル。Foundationレベルのテスターには求められません。
-
5. クリティカルシンキング(批判的思考)
単なる手順通りではなく、「本当に正しいか?」を疑う姿勢が重要です。
✅ 正解:1、3、5
■ 問題8:Whole Team Approach(チーム全体での品質向上)とは?
問題:
「Whole Team Approach」がテスターとビジネス担当者の関わりの中でどのように表れるか?
選択肢例:
A. ビジネス担当者がテスト自動化の方針を決める
B. テスターがビジネス担当者と共にテスト戦略を決める
C. ビジネス担当者はWhole Team Approachには含まれない
D. テスターがビジネス担当者と協力して受け入れテストを作成する
解説:
-
**Whole Team Approach(チーム全体の品質責任)**とは、
開発者・テスター・ビジネス担当が協力して製品品質を作る考え方。
✅ 正解:D
テスターは、ビジネス担当者と協力して**受け入れテストケース(Acceptance Test)**を定義します。
例)「注文確定ボタンが正常に動作する」など、業務的に重要なシナリオを一緒に確認する。
■ 問題9:SDLCモデルにおける「各工程に対応するテスト活動」とは?
問題:
「各SDLC活動に対応するテスト活動が存在する」というルールが成り立つモデルはどれか?
選択肢:
A. 順次型(Sequential)のみ
B. 反復型(Iterative)のみ
C. 順次型・反復型・増分型すべて
D. 増分型のみ
解説:
テスト活動は、どの開発モデルでも対応する形で存在します。
-
ウォーターフォールモデル(Sequential)
要件定義 → 受け入れテスト準備
設計 → システムテスト設計
実装 → 単体テスト準備
-
反復型・増分型モデル(Iterative / Incremental)
各イテレーションで同様に要件分析〜テストを繰り返す。
✅ 正解:C(全てのモデルに当てはまる)
ポイント:
テストはどの工程にも寄り添う活動。開発モデルが何であれ、対応するテストは存在します。
■ 問題10:ATDD(受け入れテスト駆動開発)の正しい説明は?
問題:
次のうち、ATDD(Acceptance Test Driven Development)を最も正しく説明しているものはどれか?
選択肢:
A. 「Given-When-Then」形式で記述される(BDD)
B. コンポーネントテスト中心でコード指向(TDD)
C. 受け入れ基準に基づいてテストを作成する
D. 望ましい振る舞いに基づいてテストを作成する(BDD)
解説:
-
**A:BDD(行動駆動開発)**の特徴です。
-
**B:TDD(テスト駆動開発)**の説明です。
-
D:これもBDDの特徴(ユーザー視点の「望ましい動作」)。
✅ 正解:C
ATDDでは、**受け入れ基準(Acceptance Criteria)**をベースにテストを先に作成し、
それを満たすように開発を進めます。
具体例:
「ユーザーが正しいパスワードを入力した場合、ログイン成功画面が表示される」
→ この条件をもとにテストケースを先に定義し、開発者はそのテストを通す形で実装します。
🔍 まとめ
|
問題番号 |
テーマ |
正解 |
ポイント |
|---|---|---|---|
|
6 |
テスターの主な業務 |
A・E |
「主にテスターが行う作業」を見極める |
|
7 |
テスターのスキル |
1・3・5 |
批判的思考と協調性が鍵 |
|
8 |
Whole Team Approach |
D |
チーム全員で品質を作る考え方 |
|
9 |
SDLCとテスト活動 |
C |
全ての開発モデルにテスト活動あり |
|
10 |
ATDD |
C |
受け入れ基準に基づくテスト駆動開発 |
💡 試験対策アドバイス
-
「誰の役割か?」を意識すると選択肢の判断がしやすくなる。
-
**テスト担当(Tester)とテストマネージャー(Test Manager)**の違いを明確に。
-
ATDD/BDD/TDDの違いは出題頻度が高いので要復習!
-
SDLCごとのテスト活動の対応関係も図にして覚えると◎。


コメント