【ISTQB /JSTQB ALTM 3.0解説】Chapter 1 サンプル問題解説|試験に出る要点と考え方まとめ

JSTQB Advanced Level Test Management 3.0

ISTQB Advanced Level Test Manager v3.0 の第1章「テスト活動のマネジメント」をすべて学習した後に、どのような問題が出題されるのか?

今回は、実際のサンプル問題を通して、出題傾向と解答の考え方を整理します。


🧩 試験形式の変更点(v2.0 → v3.0)

まず最初に、ISTQB Test Manager v3.0の出題形式が一部変更されています。

  • 選択肢が5つ→4つに減少

  • 正解数が1つのみ(旧バージョンでは2つ選ぶ問題も多かった)

  • 問題文(シナリオ)が短く、ポイントが明確に

つまり、「読解力よりも、正確な知識と理解力」が求められる形式になっています。


🎯 Question 1:テストモニタリングの目的

ソフトウェア開発プロジェクトにおいて、テストモニタリングは重要な活動となります。次のうち、テストモニタリングの主な目的を最も適切に定義しているものはどれでしょうか?

選択肢の整理

A. 実際のテスト進捗を計画と比較する

B. 実際の結果と期待結果を比較する

C. 変更内容を未知のリスクと比較する

D. 承認基準と終了基準を比較する

解説:

テストモニタリングとは、計画と実績を継続的に比較し、必要に応じて制御を行う活動です。

選択肢Bの「結果比較」はテストケース実行の話であり、モニタリングではありません。

Cの「未知のリスク」はまだ識別されていないため、追跡不可能です。

Dはプロジェクト全体の管理レベルの話。

正解:A

「計画された進捗と実際の進捗を比較する」

→ テストマネージャーの最重要業務の1つです。

🔍 現場例:

たとえば「テストケース500件のうち、今週200件実行予定だったが150件しか終わっていない」。

この差を把握し、リソース調整や優先順位の見直しを行うのがモニタリングの目的です。


🚀 Question 2:メンテナンス期のテストマネジメント活動

あなたは、スタートアップ企業でロイヤリティプログラムのシステム開発を担当しています。毎月新機能とバグ修正をリリースしています。この状況で、どのテストマネジメント活動が最も適切でしょうか?

選択肢:

A. DevOpsツールの導入

B. テストステータスを手動で報告

C. 回帰テストを手動で管理

D. チーム間のコミュニケーションを促進する

解説:

  • A:スタートアップ段階ではDevOps導入は早すぎる(組織成熟度が低い)

  • B:報告方法は目的ではなく手段

  • C:回帰テストを手動で管理は非効率(自動化が望ましい)

  • D:複数組織間の開発・運用が関わるため、情報共有と調整が最重要

正解:D

「チーム間のコミュニケーションを促進し、連携を強化する」

🔍 実例:

異なる会社が同一システムに関わる場合、

「バグ修正の影響範囲が伝わらない」「リリース時期がずれる」といった問題が起こりやすい。

そのため、SlackやJira、Confluenceなどで可視化・共有することが重要です。


⚖️ Question 3:リスクベースドテスト(RBT)の適用手法

公共交通機関の時刻表を表示するアプリを開発中。アジャイルで短期リリースを繰り返す環境。リスク分析を迅速に行うための手法はどれか?

選択肢:

A. Hazard Analysis(ハザード分析)

B. PRAM(Pragmatic Risk Analysis and Management)

C. SST(Software Security Testing)

D. Fault Tree Analysis(FTA)

解説:

  • A・Dは安全性が重視される重量級手法(医療・航空など向け)

  • B・Cは軽量手法で、アジャイル開発に適している

  • ただし、CのSSTは仕様が形式化されている必要がある

     → アジャイルでは仕様が流動的なため不向き

正解:B(PRAM)

アジャイル開発でのリスク分析に最も実践的な手法。

🔍 具体例:

公共交通アプリでは、「遅延情報の更新遅れ」や「地図描画のパフォーマンス」などがリスク。

PRAMでは、チームの経験や過去バグ履歴を基にリスクを迅速に洗い出します。


🎯 Question 4:SMARTなテスト目標

モバイルショッピングアプリ開発において、どの目標がSMART原則に基づいているか?

🧩 選択肢

A.

アプリのユーザビリティを検証するために、

「90%のユーザーが3分以内に購入を完了できる」ことを、今後2か月以内に測定する。

B.

回帰テストの効率を高めるために、2週間以内に自動化レベルを50%向上させる。

C.

EUの最新のEコマース規制に準拠し、業界標準に適合させる。

D.

アプリのすべての機能をできる限り多くの実機端末でテストし、

外部サービスプロバイダのエミュレータも利用する。

正解:A

SMART原則をすべて満たしています。

この問題では、「SMART(Specific, Measurable, Achievable, Relevant, Time-bound)」の5要素を理解しているかが問われます。

つまり、テスト目標が具体的で測定可能であり、現実的かつ期限があるかを見極める問題です。

要素

意味

該当部分

S

Specific(具体的)

「購入完了時間」「90%」など明確

M

Measurable(測定可能)

時間・割合で定量評価可能

A

Achievable(達成可能)

2ヶ月で検証可能な範囲

R

Relevant(関連性)

ユーザビリティに直結

T

Time-bound(期限付き)

「2ヶ月以内」という期限設定

❌ 他の選択肢の誤り:

  • 「自動化率を50%上げる」→ “50%”の基準が不明で測定不能

  • 「EU規制に準拠」→ どの規制か不明、期限なし

  • 「すべての実機でテスト」→ コスト非現実的、目的不明確


🧠 まとめ:Chapter 1で学ぶべき3つの観点

  1. テスト活動は「計画・モニタリング・制御」が基本

  2. 組織の成熟度や開発モデルに応じたアプローチ選択が重要

  3. SMARTなテスト目標設定で、成果を“見える化”できる


📘 学習アドバイス

  • 問題を読むときは、「キーワード」と「文脈(開発モデル・目的)」を見逃さない

  • 各選択肢を「消去法」で評価する練習を繰り返す

  • ISTQB公式シラバス(Test Manager v3.0)の章構成に沿って復習すると効果的


💡 まとめ

今回紹介したサンプル問題は、単なる知識ではなく、

**「テストマネージャーとしての判断力」**を問う構成になっています。

現場での経験と照らし合わせながら学ぶことで、

試験対策だけでなく、実務にも直結するスキルが身につきます。

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