ISTQB Advanced Level Test Manager(v3.0)の第1章「Managing the Test Activities」から、今回は最初のセクション 「1.1 Test Planning Activities(テスト計画活動)」 をわかりやすく解説します。
この記事では、テストマネージャーがテスト計画を立てる際に行うべき主要な活動内容や、SDLC(ソフトウェア開発ライフサイクル)との関係、実際のプロジェクトでの具体例を交えて説明します。
1️⃣ テストプロセス全体をおさらいしよう
まずは、Foundationレベルでも学んだ テストプロセス(Test Process) の流れを思い出しましょう。
テストプロセスには次の7つのフェーズがあります。
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Test Planning(テスト計画)
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Test Monitoring & Control(テストのモニタリングとコントロール)
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Test Analysis(テスト分析)
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Test Design(テスト設計)
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Test Implementation(テスト実装)
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Test Execution(テスト実行)
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Test Completion(テスト完了)
このうち、テストマネージャーが主に責任を持つのは次の3つです👇
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Test Planning(計画)
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Test Monitoring & Control(進捗管理と修正)
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Test Completion(完了報告と改善)
一方、Analysis・Design・Implementation・Execution はテストエンジニアの主要領域ですが、マネージャーも常に進捗を監視し、必要に応じて支援や調整を行います。
2️⃣ テスト計画は“開発と並行して”行う
テスト計画は、開発が終わってから始めるものではありません。
開発フェーズと並行して早い段階から進める ことが重要です。
🔹 例:
たとえばウォーターフォールモデルの場合、要件定義が始まった時点でテスト計画書のドラフトを作成します。
また、アジャイル開発では、リリース計画 と スプリント計画 の両方でテスト計画を行います。
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リリース計画:全体的なテスト戦略・リスク分析・スケジュール策定
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スプリント計画:具体的なテスト項目・テストデータ・工数見積りなど
3️⃣ テストマネージャーの主な5つの活動
テストマネージャーが計画段階で行うべき重要な活動は、以下の5つに整理できます。
① コンテキストを理解し、計画を整理する
「テストは文脈依存(context dependent)」です。
つまり、プロジェクトや業界、品質要求、リスクレベル によって計画内容は変わります。
✅ 具体例:
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医療機器のソフトウェア → 安全性が最優先 → リスクベーステストを採用
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Webアプリ開発 → 開発スピード重視 → アジャイル+自動テスト活用
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組込みシステム → ハードウェア依存が大きい → 早期結合テスト重視
また、テスト計画は 組織の方針や標準 にも沿って作成する必要があります。
計画段階では、テスト項目・範囲・必要なリソースを明確化し、関係者からの承認を得ます。
② 製品リスク(Product Risk)の特定と分析
リスクには2種類あります。
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種類 |
担当 |
内容 |
|---|---|---|
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Product Risk |
テストマネージャー |
製品の欠陥による問題(例:バグで機能が動かない) |
|
Project Risk |
プロジェクトマネージャー |
進捗・予算・スケジュールのリスク |
✅ 例:
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ログイン認証機能が複雑 → セキュリティリスクが高い
-
外部APIに依存している → 接続不良リスクあり
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新しいUIフレームワークを使用 → 表示崩れや互換性リスクあり
テストマネージャーは、これらのリスクを洗い出し、発生確率と影響度 を評価します。
③ リスク対策(Risk Treatment)の定義
リスクを分析したら、次は どう対応するか(mitigation) を決めます。
✅ 具体例:
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パフォーマンスリスク → 専任のパフォーマンステストエンジニアを追加
-
セキュリティリスク → 外部セキュリティ専門家によるレビューを実施
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品質リスク → 自動テストツール導入によるカバレッジ向上
「採用」「教育」「外部支援」「新ツール導入」など、あらゆる行動がリスク低減策になり得ます。
④ テストアプローチの定義とリソース見積り
テストアプローチとは、どんな方針・手法でテストを行うか です。
例:
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機能テスト:ブラックボックステスト中心
-
非機能テスト:パフォーマンステストツール使用
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回帰テスト:自動化で効率化
また、必要な人員・ツール・環境・データなどを見積もり、プロジェクト全体の工数やコストを算出します。
⑤ テスト計画書の作成と合意
最後に、これまでの内容をまとめた テスト計画書(Test Plan) を作成します。
この文書は、「誰が・いつ・何を・どのように・どこまで」 行うかを明記し、全ステークホルダーから承認を得ることが大切です。
✅ テスト計画書に含まれる主な項目:
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テスト目的・スコープ
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テスト戦略・手法
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リソース(人員・ツール・環境)
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スケジュール
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リスクと対応策
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役割と責任分担
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承認者リスト
4️⃣ まとめ:テスト計画は“品質の土台”
テスト計画は、単なるスケジュール作成ではなく、品質保証の設計図 です。
テストマネージャーは、プロジェクトの文脈を理解し、リスクを分析し、最適なアプローチを選び、チームと関係者をつなぐ役割を担います。
これが、ISTQB Test Manager v3.0が定義する「Test Planning Activities(テスト計画活動)」の本質です。


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